開通タグホイヤー②
あー
石井石井石井石井…
※写真はイメージです
石井ェ…
※写真はイメージです
初めての婚活パーティーから3日、私は未だ石井(仮)を失った悲しみから立ち直れずにいた(得てもないのに)
Tさんに、いかに石井が魅力的だったかを力説し「3人で会いましょうよぉ!」と往生際の悪さを爆発させた程である。
しかし石井ときたら、当日も用事が有ると帰ったきり、その後も一度も連絡を寄越さないという。何でやねん!
私も連絡先カードは渡せていたはずだが、もちろん来ていない。何でやねん!
私とは逆で、仏心など微塵もないタイプなのだろうか。とてもそんな風には見えなかったが…。
それとも、これこそいわゆる「社交辞令」なのか。社交的なのは当然で、興味が無ければ遠慮は無用…婚活パーティーとは思った以上にシビアな場なのかもしれない。しかしながら、下手に期待を抱かせないという意味では非常に明快で、紳士的とも取れる。さすが私の愛した石井は紳士。
「そういうもんだと割り切らなきゃ」と大人なTさんになだめられ落ち着きを取り戻す私。初めての婚活パーティー、思いの外張り切って肩入れし過ぎたようだ。真面目か!
一方、香田(仮)からは誘いのLINEが来ていた。仕事で近くまで行くのでランチでもどうですか。というものだった。
あの気の早い手繋ぎオヤジとは似ても似つかない堅苦しい文面。まるて営業マンの訪問メールのようである。
ランチならばと思いOKすることにした。
要するに、暇だったのである。
ランチは普通に楽しかった。デート感はまるで無く、取引先の営業かなんかと普通に食事しているような感覚だった。あのフライング手繋ぎは幻だったのか…
自営業といっても従業員は持たず、1人で何でもやっているようだった。大変だよ、ありがたい事だけど…という言い方に嫌味はなく、好感が持てた。
最後のデザートが出てきた時、はい。と香田がフォークを渡してくれた。
「ありがとうございます。…でもこれフォークじゃ食べられないですよ(笑)」
私はプリンを指した
「あ!あああ…。俺ほんとツメが甘いんだよなぁ」
香田は申し訳なさそうに照れ笑い。
※写真はイメージです
パァァ…
っは!!!!
一瞬萌えた、…のか?
お店を出た後、ドライブでもしよう。という事になった。ランチ解散だと思っていた私は狼狽えたが、断る理由が思いつかなかった。
要するに、暇だったのである。